砂糖の力でメレンゲの泡立ちをキープ

2019.12.02 知識情報

砂糖の力でメレンゲの泡立ちをキープ

お菓子メレンゲ保水性砂糖のはたらき

メレンゲが泡立つしくみ 

シフォンケーキなどのお菓子作りでよく登場するメレンゲには砂糖が使われています。
メレンゲに使う砂糖には、甘さ以外にどんなメリットがあるのでしょうか。

メレンゲ作りでは卵白をよくかき混ぜ、砂糖を数回に分けて加えます。卵白の成分は約10%がタンパク質、残りは水でできており、このタンパク質がメレンゲの泡立ちに関係しています。

ところで、水は激しくかき混ぜても泡立ちません。これは「表面張力(できるだけ表面積を小さくしようとする力)」によります。

一方、卵白をかき混ぜると泡立ち、徐々に気泡が細かくなってキメ細かいメレンゲが形作られます。
これは、卵白のタンパク質には水の表面張力を弱めて泡立ちやすくする「起泡性」があり、また、泡立てることで空気に触れてタンパク質が硬くなる「空気変性」の作用によって、タンパク質が膜のように1つ1つの気泡をしっかり包み込み、気泡を安定化させるためです。


砂糖の力でキメ細かい泡をキープ

しかし、卵白だけのメレンゲは、時間が経つと気泡を形作っているタンパク質と水が離れて気泡が壊れてしまいます。

砂糖には「なめらかな食感に役立つ 砂糖の保水性」のコラムでご紹介したように、食べものの中にある水となじむ性質があります。そのため砂糖を加えると卵白の水分が砂糖となじみ、タンパク質と分離するのを防ぎます。すると気泡の安定性が高まり、メレンゲがこわれにくくなってキメ細かい泡立ちを保つことができるのです。


なぜ、メレンゲを作る時、砂糖を分けて加えるの?

砂糖はメレンゲの気泡を安定させますが、水となじむ力が強いため、最初からすべての砂糖を加えると砂糖が水を抱え込んで卵白が重く粘り、メレンゲに空気を十分含ませられなくなってしまいます。
そのため最初は卵白だけで軽く泡立ててから数回に分けて砂糖を加え、徐々に気泡のキメを細かくしていきます。

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一方、ハンドミキサーで作る場合、泡立てるときに空気を含ませる力が強いので、今度は「空気変性」の作用でタンパク質が変化しすぎてメレンゲの気泡が粗くなる可能性があります。
そこで、最初から卵白に砂糖を少量加えて泡立てて、しっかりと空気が含まれたところで、残りの砂糖を数回に分けて加え、泡立てます。

砂糖を入れるタイミングを工夫して、キメが細かくこわれにくいメレンゲを作って、おいしいお菓子作りに役立ててくださいね。


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