アイシングで美しくおいしく飾る

2023.09.25 知識情報

アイシングで美しくおいしく飾る

今回はケーキやクッキーを華やかにデコレーションするアイシングのお話です。



アイシングってなに?


アイシングとは、ケーキなどの表面に塗る砂糖を主成分とする白色の砂糖衣のことです。


アイシングには種類があり、砂糖と水を混ぜて作ったウォーターアイシングや、そこに卵白を加えたロイヤルアイシングなどがあります。


ウォーターアイシングは、焼きあがったケーキやドーナツの表面によく塗られています。あまりかたくならず乾いた表面の下にふんわりとした食感が残るため、スポンジのあいだにジャムやクリームをはさむような柔らかいケーキにも使われています。


ロイヤルアイシングは、卵白のかたまる性質により、かっちりと乾燥します。ケーキやクッキーに模様や文字を描いたりして使われています。食用色素を混ぜれば、色とりどりのアイシングを楽しめます。


アイシング_挿入画像_アイシングされたクッキーの画像.jpg



かつては一点のけがれもない純白のアイシングが理想でした


現在のアイシングは、焼きあがったケーキにアイシングを塗って乾燥させていますが、初期のアイシングは、焼けてオーブンから出したケーキに水を加えた卵白を塗り、そこに砂糖を振りかけ、低温のオーブンに戻して砂糖を均一に溶かした後に乾燥させて作られていました。


砂糖は加熱によってカラメル化し着色する性質があるため、料理人たちはアイシングを焦がさないように注意をはらっていました。


1669年に出版された著名な料理書※には、アイシングは「純白かつ、なめらかで鏡のように見えること」が理想とされており、ほかの料理書にも同様の注意書きが書かれていることから、この時代アイシングを焦がしてしまうことがよくあったようです。


※ Sir Kenelm Digby, The Closet of the Eminently Learned Sir Kenelm Digby Knight Opened 〔1669〕,p.267.



砂糖製造の機械化が理想のアイシングをもたらした


砂糖の製造は当初、機械化されていなかったため細かい粉末状の砂糖をつくることは相当大変でした。それが18世紀後半になると砂糖製造の機械化がスタートし、より非常に細かい粉砂糖などアイシングシュガーとよばれる砂糖が生産されるようになります。


砂糖が細かくなることで、先に水や卵白と均一に混ぜられるようになり、労力をかけずになめらかで、きれいなアイシングができるようになったのでした。



現在では、非常に細かい粒子のグラニュ糖が簡単に手に入ります。ぜひご自宅でお気に入りのパンにウォーターアイシングをかけてワンランク上の菓子パンにしたり、色を付けたロイヤルアイシングでクッキーに模様を描いたりして、スイーツタイムを楽しんでみませんか。



【参考文献】
『ケーキの歴史物語』 ニコラ・ハンブル 著 堤理華 訳



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