プリンはかため?やわらかめ? タンパク質の「熱凝固性」を左右する砂糖

2020.11.16 知識情報

プリンはかため?やわらかめ? タンパク質の「熱凝固性」を左右する砂糖

プリン熱凝固砂糖のはたらき

幅広い世代に好まれるプリンは、最近では喫茶店などでも人気のスイーツになりました。卵、砂糖、牛乳といった手軽な材料で作れることから、ご家庭で手作りすることもあるのではないでしょうか。みなさんは、かためのプリンとやわらかめのプリン、どちらがお好みですか? 



プリンが固まる性質「熱凝固性」

プリンに欠かせない材料である卵には、タンパク質が豊富に含まれています。そして、生の卵は水分を多く含んでいるため、水分子の間にタンパク質分子が分散している状態です。このタンパク質の分子は、数多くのアミノ酸が鎖のように結合したもので、規則正しく折りたたまれ、立体構造を維持している状態です。

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ここに熱が加わると、タンパク質分子の運動が速まって互いに衝突し合います。これにより、分子の立体構造が変化して分子同士が結合しやすい状態になります。
そして、タンパク質分子同士が結合して大きな塊になると、卵の水分子が分離し、卵は固まった状態になります。

卵が熱で固まるこの性質を、「熱凝固性」と言います。ちなみに、分離した水は汁として流れ出たり蒸発したりします。

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プリンが加熱によって固まるのは、卵の熱凝固性を利用しています。

しかし、プリンには卵だけでなく砂糖が欠かせません。卵に砂糖を加えると、砂糖の成分であるショ糖分子が卵のタンパク質分子の間に入り込み、タンパク質分子同士の間隔が広がります。また、ショ糖分子は親水性が高いので卵の水分子を抱え込んで水が分離しにくくなり、タンパク質分子の間で緩衝材の役割も果たします。
そのため、熱が加わった際のタンパク質分子の衝突が減り、分子同士の結合が少なくなるので、やわらかい仕上がりになります。



たっぷり砂糖でやわらかプリンに

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実際にプリンを作るときは、砂糖だけでなく、牛乳の分量や加熱時間、加熱方法などの条件もかたさに関わります。そこで、砂糖の量とプリンのかたさの関係を明らかにするため、砂糖以外の条件は同じで、砂糖の割合だけを変えて作ったプリンのかたさ(硬度)を調べたデータがあります。

卵:牛乳(1:2)(%)

砂糖(%)

硬度

100

0

27.5

90

10

23.0

80

20

14.9

70

30

8.1

60

40

5.2

※硬度はカードメーターにより、重錘50g、感圧軸8㎜を用いて、ゲル表面が切れたときの重量を示しています。

ご覧の通り、砂糖の割合が増えるほど硬度が下がり、やわらかいプリンができあがります。ただし、砂糖の濃度が30%を超えると、やわらかすぎてしまい形が整った状態を維持するのは難しくなります。

口当たりのよい、やわらかくなめらかなプリンを作るには、多めのお砂糖がカギになりそうです。ご家庭で手作りする際に、ぜひ参考にしてみてくださいね。


肉料理にも効果あり

タンパク質と言えば、卵だけでなく肉や魚の主成分でもあります。「肉や魚に砂糖はちょっと...」と思われるかもしれませんが、日本人になじみ深い「すき焼き」は、砂糖によって熱凝固性が改善されている料理です。

すき焼きは、牛肉の薄切りを野菜や豆腐と煮たもの。肉は加熱するとかたくなりますが、すき焼きでは砂糖としょうゆをたっぷり使います。砂糖を加えていることで、加熱しても肉はやわらかく、おいしく味わうことができるのです。

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焼くとかたくなりがちな赤身肉には、この性質を利用するのがおすすめ。塩、こしょうなどの下味とともに砂糖もふりかけて焼くと、やわらかくうまみも向上します。