発酵を促進する砂糖

2022.05.16 知識情報

発酵を促進する砂糖

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発酵とは

パンを作るには、小麦粉と水、そして酵母(イースト)が使われます。酵母には「ふくらし粉(または、ふくらまし粉)」というイメージを持つ人もいるかと思いますが、なぜ酵母はパンをふくらませることができるのでしょうか。

酵母は単細胞の微生物で、カビやキノコと同じ菌類の仲間です。酵母は、でんぷんやブドウ糖、タンパク質などを分解(食べて)し、炭酸ガスとアルコールを生成します(出します)。このような微生物の働きで、ブドウ糖などの有機物が分解され、別の物質に変化することを「発酵」といいます。

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パンがふくらむのは、酵母によってパンの生地が発酵し、生地の中で炭酸ガスが発生するためです(ちなみにアルコールはパンの風味や香りの元になります)。この発酵の過程で、酵母のエネルギー源になるのが糖なのです。


酵母はどんな糖がお好き?

パン作りには通常グラニュ糖や上白糖が使われます。しかし、実際は酵母が直接栄養にできる糖は、糖の中でも分子の小さいブドウ糖や果糖などの「単糖」です。「二糖類」のグラニュ糖や上白糖は、まず酵素の働きでブドウ糖と果糖に分解されエネルギーになります。

一方、一般的にフランスパンなどのパンを作るときには砂糖を加えません。その場合、酵母は何をエネルギーにしているのでしょうか。
砂糖を加えない場合も結局は糖がエネルギー源になるのですが、まず小麦粉に含まれるでんぷんを酵素が「麦芽糖」という糖に分解します。この麦芽糖をさらに別の酵素がブドウ糖に分解して、やっとエネルギー源になります。

そのため砂糖を加えた方が酵母の働きが活発になり、発酵が進み、生地がよりふっくらとふくらみます。

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ただし、パンの生地の中で砂糖の割合が一定以上になると、酵母の細胞内の水分が浸透圧によって細胞の外に流出してしまいます。すると酵母の働きが停滞し、発酵が遅くなってしまいます。そのような場合は、酵母も多めに使うことが多いようです。



パン作りにおける砂糖のその他の役割

砂糖は、発酵を促進する以外にも、パン作りにおいてさまざまな役割を果たします。
砂糖のもつ「保水性」によってパンの水分を保ち、固くなるのを遅らせたり、「カラメル化とメイラード反応」によっておいしそうな焼き色をつけたり...。そしてもちろん、甘味をつけることで味を向上することも砂糖の重要な役割ですね。パン作りと砂糖には、深い関係があるのです。


シャンパンにも砂糖!?

シャンパンを作るときにも砂糖が働くことをご存じでしょうか。シャンパン作りにはまず、ぶどうの搾り汁をタンクや樽で一次発酵させてベースとなるワインを作ります。その後、このワインを瓶につめて二次発酵を行うのですが、このときに酵母と砂糖を加えることで、酵母が砂糖を分解しアルコールと炭酸ガスが発生します。そのため、発生する二酸化炭素を逃さないように、コルク栓と金具でしっかりと固定されます。
シャンパンの栓を抜いた時の小気味よい「ポンッ」という音には、砂糖が関わっているのです。

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2022.5.16
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