ジャムにとろみがつく理由

2020.03.09 知識情報

ジャムにとろみがつく理由

ジャムペクチン砂糖のはたらき

おいしい「とろみ」の謎 

旬のフルーツの味を閉じ込めて一年中楽しめるジャム。
ジャムは、イチゴやリンゴなど酸味(すっぱい味)のあるフルーツや果汁に砂糖を入れて煮つめて作ります。
ゼリーを固める時に使うゼラチンや寒天を入れないのに、どうしてジャムはとろみがつくのでしょうか?


キーワードは、「ペクチン」の繋がり

これには、フルーツや野菜に含まれる「ペクチン」という水に溶ける食物繊維が関わっています。
ペクチンはフルーツや野菜に含まれる成分のひとつで、ふだんはペクチン同士が網の目のように繋がり、間に水を抱え込んでフルーツや野菜の細胞膜を形作っています。
フルーツや野菜を加熱するとペクチン同士の繋がりが切れ、フルーツや野菜に含まれる水にペクチンが溶け出し、フルーツや野菜は形がくずれ柔らかくなります。

一度溶けだしたペクチンは、煮つめてペクチンの周りにある水分を減らすことで、再び網目状に繋がりますが、砂糖が加わることで特別な効果がでます。
先のコラム「なめらかな食感に役立つ 砂糖の保水性」でもご紹介しましたが、砂糖は「保水性」(水になじむ性質)が高く、ペクチンの周りにある水を砂糖に引きつけます。
そのため、水分を大きく減らさなくてもペクチン同士が再び繋がることができ、その結果、水分を保ったままのプルプルとしたとろみのあるジャムになります。その際、酸性であることもペクチン同士の繋がりを促進します。


プルプルとしたとろみのあるジャムをご家庭でも

イチゴやリンゴなど酸味が強くペクチンが含まれているフルーツであれば、砂糖を加えて煮つめることで、とろみのあるおいしいジャムになります。
酸味が少ないフルーツで作る場合は、リンゴやレモンと一緒に煮つめるとジャムのとろみができやすくなります。

ジャムのとろみができやすいのは、フルーツ全量に対してペクチンが0.51.0%含まれ、砂糖が約6065%になる時です。ご家庭で作る場合は甘さを控えめにすることも多いので、その場合はとろみがあまりつかないジャムになります。

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旬のフルーツのおいしさが続く

また、砂糖には水をつかんで離さないという性質があり、微生物が活動するのに必要な水を奪うので、生のフルーツをジャムにすると保存性が高くなります。(コラム「なぜジャムは長もちする? 砂糖の防腐性」

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お好みのフルーツと砂糖を使って、おいしいジャムを作ってみませんか。



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