甘味は、生まれて初めて覚える味といわれています。母乳にも乳糖という糖が含まれていることで、母乳をより多く飲むことを促しているのだと思われます。
食生活に欠かせない甘味。今回は砂糖の甘味の特徴を他の糖との比較もまじえてご紹介いたします。
砂糖といっても上白糖やグラニュ糖、変わったところでは和三盆糖や黒糖など、さまざまなものがあります。
今回はブドウ糖や果糖などの他の糖との甘味の比較をしますので、砂糖のなかでも純粋なショ糖(※)に近いグラニュ糖で砂糖の甘さをご説明します。
※ショ糖:砂糖の主な成分。C12H22O11。ブドウ糖分子と果糖分子がつながってできている二糖類。スクロースともいう。グラニュ糖はショ糖成分が99.9%です。
1. あっさりとしたシンプルな甘味
ショ糖(グラニュ糖)はあっさりとした甘味が特徴です。
「シンプルであっさり心地よい甘味」
砂糖の甘味はこの表現につきるのではないでしょうか。
また濃度を高めに溶かしたときも、他の糖に比べて、くどくなりにくい特徴もあります。
2. 温度による甘さの変化が少ない
温度による甘さの変化がなく、ほぼ一定しています。
糖の中には温度によって構造が変わり、甘さが変わるものもあります。温度が上がると甘さが減るものが多いです。
3. ショ糖は「甘味の基準」
最も広く食べられている糖であり、心地よいあっさりとした味でもあることから、ショ糖が甘味の基準となっています。
ショ糖とは大きく違って感じる甘味のことはクセのある甘味といわれるほどです。
また、糖の甘さの強弱を表す「甘味度」はショ糖の甘さと比較した数値になっています。
・まずは生物にとって一番大切な糖「ブドウ糖」。ごはんやパンなどブドウ糖分子が数千個つながった構造のデンプンの状態では甘くないですが、ブドウ糖そのものは爽やかな甘味をしています。
・「果糖」はすっきりしたキレのある甘味をしています。口に入れるとすぐに強く感じられ、また消えるのも早い特徴があります。
果物では甘味が早く消えることで、その後に果物の香りや酸味などの風味がよく感じられます。
・「乳糖」は甘味度が0.15〜0.4とそもそもあまり甘くありません。母乳や牛乳に5%前後含まれ、ほのかな甘味を出しています。
・「麦芽糖」はショ糖に近いすっきりとした甘味です。
ブドウ糖分子が二つつながった構造をしていて、水飴の主成分です。
・オリゴ糖の「乳糖果糖オリゴ糖」はショ糖に近い甘味をしています。
乳糖分子と果糖分子がつながった構造をしています。弊社の「オリゴのおかげ」の主成分です。
・糖アルコールの「ソルビトール」は爽やかな甘味です。
甘味度は0.6程度ですが、保湿や保香、耐褐変性など機能性が優れているため加工食品によく使われています。
今回は砂糖(ショ糖)とその他の糖の甘味の特徴をご紹介しました。
ブドウ糖などそれぞれの糖を紹介した記事も以前作りました。気になるものがありましたら、下のリンクから見てみてくださいね。
【参考資料】
「砂糖百科」橋本仁 他著(糖業協会、精糖工業会)
「マギーキッチンサイエンス」Harold McGee 著(共立出版)
「科学でわかるお菓子の「なぜ?」」中山 弘典他著(柴田書店)
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