「砂糖には味の抑制効果がある」と聞いたことがありますか。砂糖を入れることで甘味がプラスされるだけでなく、他の味の感じ方が変わることがあります。今回は味の抑制効果など、味の相互作用についてご説明いたします。
砂糖を入れることで強い苦味や酸味が抑えられる効果のことです。
たとえば、そのままでは苦いコーヒーに砂糖を入れると甘味を感じるだけではなく、苦味が減って飲みやすくなります。
また酸っぱいグレープフルーツに、適量の砂糖を振りかけると強い酸味が減って、香りなど風味がより味わえるようになります。
このような時、砂糖の甘味が加わることで、苦味や酸味への感じ方が抑制されているのです。
これらの例のほかにも、複数の味が一緒になることでそれぞれの味の感じ方が変わることを味の相互作用といいます。
味の相互作用には抑制効果の他にもありますので、簡単に見ていきましょう。
味には基本五味(きほんごみ)といわれる、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の基本的な味があります。
これらの味は混ざった時、お互いを強めたり、あるいは片方を強めたり弱めたりして、相互に作用することがあります。これを味の相互作用といい、以下の3つが知られています。
複数の同じ種類の味が一緒になったとき、その種類の味が格段に強く感じられるようになる作用です。
鰹節だしと昆布だしを合わせることで、さらに深い旨味を感じる場合などです。基本五味のうち、旨味どうしで高い効果があります。
違う種類の味が一緒になったとき、別々の時に比べて片方の味が強く感じられる作用です。
和菓子の甘い餡子に、ごく少量の塩が加わることで甘さが引き立つのがこの作用によるものです。
違う種類の味が一緒になったとき、別々の時に比べて片方の味が弱く感じられる作用です。
先ほどご紹介した、苦いコーヒーに甘い砂糖を入れると苦味が減るなどの例があります。
今回は砂糖による味の抑制効果から、全般的な味の相互作用についてご紹介しました。
チョコレートも中南米で食べ始められた時は苦い飲み物でしたが、ヨーロッパにもたらされた後、砂糖と一緒になることで、味の抑制効果により苦味がマイルドになり、甘味の中に複雑な風味が味わえる大人気のお菓子になりました。
以前の記事でチョコレートの歴史から体温で絶妙に溶けだすカカオバターのことなど、美味しさの秘密をご紹介しています。よければ下のリンクから見てくださいね。
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