「オリゴのおかげ」は知っていても、その成分のオリゴ糖「乳糖果糖オリゴ糖(※1)」はご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
原料や作り方から機能の優れているところ、そして、もうちょっとなところを研究結果も含めてご紹介します。分量が少し多いので何回かに分けてお届けいたします。
※1 特定保健用食品としての成分名は「乳果オリゴ糖」と表示され、同じものです。ラクトスクロースともいわれます。
乳糖果糖オリゴ糖は「ショ糖」と「乳糖」を原料として酵素と酵母を使って作られます。
具体的にはショ糖と乳糖をほぼ1:1の割合で混合した中に酵素(※2)「β-フルクトフラノシダーゼ」を入れると、ショ糖がブドウ糖と果糖に分解され(※3)、そのうちの果糖が乳糖とつながって乳糖果糖オリゴ糖ができます。
※2 酵素は、麹菌が大豆を発酵させて味噌にするときや、ヒトの唾液に含まれデンプンを分解するときに働く物質など生体触媒といわれるものです。ヒトがもつ酵素だけでも約5,000種類あります。詳しくは下のリンクから過去の記事「酵素って何?」も参考にしてくださいね。
※3 ショ糖は、上白糖など砂糖の主要成分でブドウ糖分子と果糖分子がつながってできています。
また酵母は、このとき残ったブドウ糖を食べて、乳糖果糖オリゴ糖の純度を高める役割をしています。
作り方でご説明しましたとおり、乳糖果糖オリゴ糖は乳糖と果糖がつながっています。
乳糖はガラクトースとブドウ糖の2つの単糖からできていますので、結局、乳糖果糖オリゴ糖は「ガラクトース」+「ブドウ糖」+「果糖」の3つの単糖がつながった構造になります。
1.難消化性
一般的に食べ物は口から胃、小腸と進むうちに消化(分解)されて吸収され、血管を通って身体の栄養となります。しかし乳糖果糖オリゴ糖は、ほとんど消化されない難消化性の性質をしています。
そのため、大腸まで分解されずに届き、大腸内に棲むビフィズス菌が食べることができます。
また、砂糖のように消化されて小腸で吸収されないため、乳糖果糖オリゴ糖自体はカロリーになりません。(※4)
※4 大腸で増えたビフィズス菌が生み出す短鎖脂肪酸が腸内で吸収されてエネルギーになるため2kcal/gのカロリーとなります。
2.大腸内のビフィズス菌を増やす
大腸に届いた乳糖果糖オリゴ糖は、ビフィズス菌のごはんとなってビフィズス菌を増やします。
ビフィズス菌が増えることでビフィズス菌が出す短鎖脂肪酸が腸内に増えて、悪玉菌が減り、また蠕動(ぜんどう)運動が活発になっておなかの調子が整っていきます。カルシウムなどミネラルの吸収も促進されます。
3.たくさん食べても下痢しにくい
一般的に難消化性の糖質は浸透圧の影響で下痢を起こしやすいですが、乳糖果糖オリゴ糖はたくさん食べても下痢しにくいオリゴ糖です。
排便に関しては、ビフィズス菌が増えて腸内環境が整うと、排便回数の少ない方は徐々に増えて適正になります。(個人差はあります)
4.砂糖に近い自然な甘さ
原料がショ糖と乳糖のため砂糖に近い甘味をしています。クセがなく美味しい甘味です。
ビフィズス菌のごはんなので、おなかの調子を良好に保つには毎日摂った方がいいのです。そのためには甘味料として砂糖のように違和感なく使えるのは大切なポイントですね。
5.熱と酸に少し弱い
ご家庭での普通の煮物などでは大丈夫ですが、豆料理などぐつぐつと長時間煮込む料理や、酸性下での加熱では3つの糖のつながりが切れていき、徐々に乳糖と果糖が混じっただけの甘味料になってしまいます。
そうなると難消化性などの乳糖果糖オリゴ糖の特性が薄れ、それぞれの糖を食べたのと同じになります。
ここが乳糖果糖オリゴ糖のウィークポイントかもしれません。
すっぱい加熱する料理には最後に加えることをおすすめします。またフルーツなど加熱しない食べ物であれば、すっぱいものでも大丈夫です。
今回は「乳糖果糖オリゴ糖」をご紹介するシリーズの初回、原料や作り方、特性を簡単にご紹介しました。
次回以降でそれぞれの特性を実験結果もまじえて詳しくご説明いたします。お楽しみに。
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