ビーツの気になる栄養と健康効果

2020.09.30 知識情報

ビーツの気になる栄養と健康効果

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「ビーツってどんな野菜」のコラムで、食卓を鮮やかに彩るビーツについてご紹介しました。今回はさらに、ビーツの栄養や健康について深堀りしていきます。

ビーツに含まれる栄養素


近年、ビーツはスーパーの野菜売り場に並んだり、レストランの料理に取り入れられるようになったりと、その知名度をあげています。そして現在では、栄養豊富な野菜としても話題を呼び始めていることをご存じでしょうか。

ビーツに含まれる栄養素としては、必須ミネラルの「カリウム」や「鉄」のほか、「葉酸」、「ベタイン」が挙げられます。カリウムはナトリウムを排出して血圧を下げる作用、鉄は酸素を全身に供給する働きがあることで、それぞれよく知られていますね。葉酸はDNAの合成などにかかわるビタミンで、妊娠・授乳期の女性にはとくに必要とされています。ベタインはあまり聞き慣れない栄養素ですが、肌や髪の健康にかかわるアミノ酸の一種です。そして、ビーツにとくに豊富に含まれているのが、「ポリフェノール」と「硝酸イオン」です。


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"酸化"を防ぐ「ポリフェノール」


「ポリフェノール」という言葉はテレビ番組や雑誌などでもよく見かけるため、赤ワインやチョコレートといったポリフェノールを多く含む食べものが思い浮かぶ方も多いはずです。


ポリフェノールは、植物に含まれる色素や渋み、苦味、香りなどの成分を指す「ファイトケミカル」の一種です。ファイトケミカルは、免疫力の増強や老化の抑制といった生体の調節機能にかかわり、健康の維持に大切な栄養素です。

ポリフェノール自体は数千種類以上あるファイトケミカルのひとつですが、そのポリフェノールにもたくさんの種類があります。緑茶に含まれる渋み成分「カテキン」や、ブルーベリーや赤ワインの色素「アントシアニン」などもポリフェノールの仲間で、ビーツには「ベタシアニン」という赤い色素のポリフェノールが多く含まれます。


ポリフェノールは、強力な「抗酸化」作用をもつことで知られています。「抗酸化」は「酸化を防ぐ」という意味ですが、では「酸化」とは何を指すのでしょうか。


人間をはじめ、生物は酸素によって生命活動を維持しています。酸素は体に入るとその一部が外部からの刺激によって、通常よりも活性化した「活性酸素」に変化します。活性酸素はウイルスの感染防御などに働きますが、過剰に産出されると体内の細胞を傷つけてしまいます。これが「酸化」で、体の老化をもたらし、生活習慣病などさまざまな疾患を引き起こす要因になると考えられています。抗酸化物質は、活性酸素の産出を抑えたり傷ついた細胞のダメージを修復したりする物質のことで、ポリフェノールもそのひとつです。ビーツのポリフェノールであるベタシアニンという色素は、その抗酸化力の高さで注目されています。

活性酸素.jpg


血管の筋肉を緩めて広げる「硝酸イオン」


「硝酸イオン」は1つの窒素原子と3つの酸素原子からなりたちます。窒素はアミノ酸を合成するため、植物の成長に不可欠なものです。硝酸イオンをもつ塩「硝酸塩」は土壌中に存在しており、植物に自然に吸収されて窒素からアミノ酸を合成しますが、一部は硝酸塩のまま植物に蓄積されます。ホウレンソウやサラダ菜などは硝酸塩が多く含まれる野菜として知られていますが、じつはビーツにも豊富に含まれています。

野菜に含まれる硝酸塩は、人間の体に入ると硝酸イオンとなり、口の中の細菌によって一酸化窒素(NO)に変換されます。一酸化窒素は、血管にいきわたると血管の中膜「血管平滑筋」を緩めることがわかっており、これによって血管が広がり、血圧の降下につながります。

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血管が広がると、血流の改善によって酸素供給能力が向上することから、スポーツ界ではパフォーマンスの向上を目的に、硝酸イオンを豊富に含むビーツが積極的に取り入れられているそうです。ほかにも、冷え性の予防やむくみの改善のほか、認知症の予防への効果が期待され、こうした関心の高まりに伴い、ビーツに注目が集まっています。

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